次世代足場の比較(メーカー別)
最近話によく出てくる次世代足場について簡単にまとめてみました。
枠組足場に代わる次世代の足場として、従来の打込み式クサビ緊結式足場から派生した足場です。
近年工事現場での労働力不足による安全性の低下防止、作業負担の軽減などを目的に開発されました。
枠組足場と比較しトラックの積載効果面も大幅に向上し、コスト面でも貢献しているようです。
最大の特徴として、各メーカー仮設工業会のシステム承認を取得することにより、全体の強度計算が容易になりました。
主に次世代足場と呼ばれる商品の共通事項は以下の通りです。
①安全性を重視した先行手摺工法使用。
②従来の打込みクサビでは抜けてしまう可能性があるため、抜止め機能のついた手摺。
③クレーンによる大組、大払しが可能。
④階高1800㎜~1900㎜。
⑤型枠支保工のシステム承認を取得している。
各メーカー別次世代足場商品
メーカー名 | 次世代足場名称 | 階高ピッチ | 支柱パイプ径 | パイプ肉厚 | 手摺連結部 | NETIS登録 | 仮設工業会認定取得品 | 仮設工業会システム承認取得 | 特徴 | 支柱1本あたりの許容支持力 |
平和技研(株) | 次世代足場 ロックシリーズ |
1800㎜ | φ48.6 | 2.4㎜ | ポケット型 | 〇 | 〇 | 〇 | 従来のクサビ式と共有可能。最高クラスの揺れ軽減 | 14.9kN |
(株)タカミヤ 光洋機械産業(株) |
Iqシステム | 1900㎜ | φ48.6 | 2.0㎜ | 円盤型 | 〇 | x | 〇 | 階高1,900㎜、広い作業空間 | 9.6kN |
アルインコ(株) | アルバトロス | 1800㎜ | φ48.6 | 2.4㎜ | 円盤型 | 〇 | 〇 | 〇 | 業界最多のシステム承認取得 | 12.5kN |
日建リース工業 | ダーウィン(NDシステム) | 1800㎜ 1900㎜ |
φ42.7 | 2.4㎜ | ポケット型 | 〇 | x | 〇 | ポケット式で作業効率良 | 12.0kN |
JFE機材フォーミング(株) 東阪工業 | ファステック | 1800m | φ48.6 | 1.9㎜ | ポケット型 | 〇 | x | 〇 | ポケット式で作業効率良 | 12.0kN |
アサヒ産業(株) | ミレニューム | 1800㎜ | φ48.6 | 不明 | 円盤型 | x | x | 〇 | 次世代足場の先駆者 | 11.0kN |
信和(株) | SPS(サイレントパワーシステム) | 1800m | φ48.6 | 不明 | ポケット型 | 〇 | x | 〇 | ハンマー音軽減 (ゴムハンマー推奨) |
14.1kN |
三共 | TOBI LINE (トビライン) |
1800㎜ | φ42.7 | 薄肉パイプ | 円盤型 | 〇 | x | 〇 | 業界一の支柱軽量化 | 不明 |
(株)ダイサン | レボルト | 1900㎜ | φ48.6 | 2.4㎜ | ポケット型 | 〇 | 〇 | 〇 | ポケット式で作業効率良 | 13.0kN |
※タカミヤと光洋機械はIqシステムを共同開発しています。
※JFEと東阪工業はファステックを共同開発しています。
仮設工業会認定品とシステム承認品の違い
仮設工業会認定品(以下認定品)とは一般社団法人仮設工業会の個別に定める強度、材質等の認定基準試験に合格した製品を指します。
システム承認品は、使用方法(本足場使用、支保工組等)一体で試験を行い、支柱1本あたりの許容支持力を試算したものです。システム承認には合格基準はなく、各メーカー毎に強度基準は違います。
階高(作業床高)は枠組足場の1,700㎜に対し、Iqシステムは1,900㎜、他のメーカーは1,800㎜と低い枠組み天井面のストレスが解消されています。
支柱パイプ径、パイプ厚みはメーカーにより重量物軽減のため、細径、薄肉管を使用しています。
殆どのメーカーはインチサイズとなっています。従来の枠組足場部材を転用出来るためです。メーターサイズの打込み式クサビ足場の転用可能メーカーは平和技研ロックシリーズのみです。
各メーカー仮設工業会システム承認品となっており、本足場、開口部、拡幅部、型枠支保工一式の強度計算値を取得しています。(数値は各メーカー様々)
仮設工業会認定品取得、NETIS(新技術情報提供システム)は各メーカーで取得、未取得あるようです。
平和技研 ロックシリーズ
タカミヤ 光洋 Iqシステム
アルインコ アルバトロス
日建リース工業 ダーウィン
JFE 東阪 ファステック
信和 SPS
注意)本資料は各メーカーのカタログから抜粋したものです。現状は仕様変更している可能性もあります。商品の詳細は各メーカーへお問合せ下さい。
上記では、メリットを説明してまいりましたが、デメリットもあります。
通常次世代足場には、各メーカーごとに独自のクサビを使用していたり、規格の相違で互換性がありません。
したがって専用部材をそろえるための初期費用が割高になります。
また従来の枠組足場に比べると、部材単体の許容荷重は小さいので専用の補強材を用いる必要があります。
(※ご参照ください)
しかし、次世代足場ロックシリーズは、ヘイワビルダー(クサビ緊結式足場の中で最も流通量が多いAタイプ)や他社との互換性があるので導入・運用しやすいです。また業界トップレベルの許容支持力なので、45m以上でも建地の単管補強を行うことなく組立可能です。補強材が要らない分、材料や施工の手間が減ります。
※ 実際の組立条件に応じた強度計算を行い、その安全性を確認してください。
(労働安全衛生規則 第五百七十一条)
三 建地の最高部から測って三十一メートルを超える部分の建地は鋼管を二本組とすること。ただし、建地の下端に作用する設計荷重(足場の重量に相当する荷重に作業床の最大荷重を加えた荷重をいう。)が当該建地の最大使用荷重(当該建地の破壊に至る荷重の二分の一以下の荷重をいう)を超えないときは、この限りではない。